巻頭特集

住まいと暮らしのストーリー

おとな時間を楽しむ家

さまざまな責任を抱えながらも自由を謳歌できるのが『おとな』だ。
しかしながら、責任にばかり気を取られ自由を謳歌していない『おとな』も少なくない。
だからこそ、家は『おとな』にとってもっと自由で楽しい場所であって欲しい。

仕事が一番楽しいおとな達

大企業神話や終身雇用が幻想となり、ベンチャー企業が次々と花を咲かせた時代を経て在宅での仕事や副業を歓迎する企業が増えた今、自分に見合ったサイズで、無理せず楽しく働きたいと思っている人は増え続けている。
さらには、わざわざ趣味を作らなくても仕事を、暮らしや遊びの一部として趣味のように楽しんでいる人が続々と現れ職住を一体とした家を建てる人も少なくない。
そこで今回は、3軒の職住一体の家に伺い彼らにとってのおとな時間について取材した。

住宅街の森に暮らすアバンギャルド
ヘアサロン『点と線』店主 山田さんの場合
建築設計:建築士事務所 エクリアーキテクツ

『おもしろい』という判断基準

山田さんにとって、緑に包まれながら仕事をしている時が至福の時だそう。

 東京のヘアサロンで腕を磨いていた山田さんが、独立に当たって、縁もゆかりもない地方都市(三重県津市)を選んだ理由。それは、0からスタートすることをおもしろいと思ったからだそう。この『おもしろい』ということこそ、彼の判断基準だ。
 例えば、お客様を集めるのに、一般的な広告手段を使わないのもそのひとつ。あるのはホームページとSNSだけ。しかも、住所すら公開していない。その理由を聞くと、
 「地元密着を目指していないからです。僕の作るものに共感してくれる感度の高い人を全国から集めたいと思って。今は色々な方法でつながれますから、そういうお客様は住所を公開しなくても辿り着いてくれるんですよ。
 それに、お客様にとっても簡単に見つからない方がおもしろいでしょう?探し出す喜びや、どんなところなんだろうと想像する緊張感を楽しんで欲しくて」。  
 彼が津市で独立した11年前と言えば、スマホやSNS
が普及し始めたばかり。当時としてはかなりの冒険だったはずだ。彼自身「最初はかなり厳しかった」と語っていた。しかし一方で、だから『おもしろい』とも思っていたようだ。

緑で別世界をつくる

ナチュラルガーデンを貫く歩道はまるでランウェイのよう。

 当初、店と家を同じ貸しビルに構えていたが、10周年を機に、同市内に新たな居場所を作った。200坪近い敷地に出来上がったのは、彼のアバンギャルドな印象からは想像しにくいナチュラルガーデンの中に建つ店と家。市街地の大きな国道から一本入った住宅街に突如現れる小さな森は、非日常への入り口だ。
 「以前、旅行でマラケッシュを訪れた時に泊まったリヤドにヒントをもらいました。埃っぽくて雑多な町の中にあるのに、門を抜けると一変、静かな庭園とモダンな建物の別世界が広がっていたんです。そのイメージがあって、都市部なのに一歩足を踏み入れると、森の中に居るような豊かな気持ちになれる場所にしたいと考えました。僕たち家族はもちろん、ご来店くださるお客様にとっても」。
 庭を貫いて店へと続く一本のシャープな歩道の中心には、水路があり、歩いていると風にそよぐ葉音に混じってせせらぎが聞こえる。まさに、別世界への入り口だ。

それぞれのおとな時間

 そもそも好きなことを仕事にしている山田さんにとって、職・住・遊に境目はなく、全てが楽しい時間のようだ。
 「東京でスタッフとして働いたことも、全ては独立するための準備でした。昔から、好きなことをして生きていきたいと思っていたので、職・住・遊に境目がないのは僕にとっては当たり前のことです。庭の手入れをしながら花を摘んで店に飾ったり、趣味の絵や音楽を店で使ったり、おもしろい料理に出会ったらお客様との会話に生かせるし、逆に、お客様に教えていただいたことを暮らしにフィードバックしたり」と、山田さん。

レイアウトやデザインはもちろん、器具や素材にいたるまで細かくオーダーしたというキッチンは、瑞記さんにとって料理という作品を生み出すもう一つのアトリエ。

 一方、妻でカリグラファーの瑞記さんはどうなのだろう。
 「今は、子育てを大切にしたいので、住まいは子どもとの場所で、仕事とは切り離して考えています。幸い、アトリエと住まいの間に庭があるので切り替えやすくて助かっています。今の私が一番楽しい時間は、思いを詰め込んで作ったこのキッチンで料理を創作している時ですね」。
 一見、異なるように感じる夫妻の話だが、仕事も家事も生きるのに必要不可欠なこと。いずれもそこに楽しさを見出しているという点では同じことのようにも思える。

山田さんのヘアサロンに併設されている瑞記さんのアトリエ。

カリグラフィのオーダーはロゴやグリーティングカードなどが多いそう。

瑞記さんにとって料理は創作意欲を沸かせる最高の媒体。

住居は2階建になっており、1階はリビング・ダイニング・キッチンを兼ねる大きなワンルームとなっている。

おとな時間を楽しむための空間づくり

 アーティストであるご夫妻にとっては、家も店も庭も、刺激的であることが大切だ。では、彼らにとって刺激的とはどういうことだろう。
 「僕の朝は、庭の手入れから始まります。自然は刻々と変わりますから刺激的ですし、庭で摘んだ草花を店内にどう飾るか考えるのも楽しいです。
 今回のテーマはおとな時間だそうですが、むしろ僕は、子どもの頃の集中力や好奇心を忘れたくないし、その熱量こそ刺激的で楽しい時間を作ってくれるものだと思います」。
 落ち着いて見える住居内にも彼らの冒険心は散りばめられている。
 例えば、壁面を貫いて外壁にまで使用されている銅板。酸化しやすい銅を使うのはなかなかの冒険だ。しかし、彼らによると、銅の経年変化を楽しみたいと思ったのだそう。
 また、リビングの照明は、ある照明作品の骨の部分にインスパイアされ、骨組みだけをオーダーしたそう。気分に合わせて傘を掛けたり、骨の隙間に花を刺したり変化させることを楽しんでいるのだ。
 この店と家は、素材ひとつ、造形ひとつ、冒険心を持って選ばれており、暮らしているだけで変化と発見が得られるようにできている。彼らにとってのおとな時間とは、子どものような熱量で楽しめる冒険の時間なのだ。

庭の手入れは山田さんの朝の日課。

骨組みだけで構成されたダイニングの照明。

銅板を使った壁は、外壁まで繋がっている。

1階部分は、扉を開けると庭とシームレスに繋がれる。

無駄なものは一切なく、寝ることに特化された夫妻の寝室。

娘・菊ちゃんの部屋。壁面のアートは瑞記さんによるもの。

PROFILE

山田恭裕
ヘアサロン「点と線」店主/美容師
自営業を営む自由な家に育ち、18歳で美容の世界へ。国内外で経験を積み、26歳で三重県津市に「点と線」を開業。個性的な感性を活かし、グラフィックアートや絵画も手がける。

ヘアサロン 点と線
http://www.ten-to-sen.com

山田瑞記
MICHELLE DESIGNS店主/
カリグラファー
ロゴやパッケージなど、カリグラフィーを使ったデザイン業を営む傍ら、カリグラフィーのワークショップなども開催している。

MICHELLE DESIGNS
https://www.mizukimurata.com

建築設計

建築士事務所 エクリアーキテクツ
TEL.052-700-3897
愛知県名古屋市昭和区川原通3-5-104
http://www.ecrit.jp

林伸嘉・海藤洋・薮下恵理の3人主宰の建築事務所。施主の願いや思いを、柔軟なアイデアで叶えてくれる。機能的かつ印象的な物件が多く、各種メディアから注目されている。


ジグザグが叶える職住融合
『パティスリー MASSA』店主 祖父江さんの場合
建築設計:建築士事務所 エクリアーキテクツ

2階の住居部分に広がるダイニングキッチン&リビング。天然素材をふんだんに使うことで温もりを創造し、天井に傾斜をつけることで、開放感と安心感を兼ね備えている。

店に見えない店

 住宅街にあるパティスリーと聞いていたので、すぐに分かるだろうと思っていたが、なかなか見つけられない。なぜこうも分かりにくいのか。店主の祖父江夫妻と、建築設計を担当した林さんの話を聞いて合点がいった。
 「パティシエとして夫婦で修行していた頃から二人で店を持つことが夢でした。
 最初は、テナントで開業しました。経験を積みながら夢をさらに膨らませ、辿り着いたのが住宅街にひっそりと建つ今のスタイルです。
 まずは、時間を惜しみなくケーキづくりに使いたくて、住まいと店を一緒にしました。
 次に、広く好まれるケーキではなく、私たちが良いと思うケーキにこだわって作り、それをわざわざ買いに来てくださるお客様のための店にしようと考えました。だから、静かな住宅街を選んだのです」と店主の祖父江さん。
 その意向を汲んで、この店舗兼住居の個性を磨いたのが建築士の林さんだ。
 「パティスリーのセオリーは“外からショーケースが見えること”だそうですが、それを否定しました。つまり、通りがかりの人は拾わない。ここがケーキ屋だということも一見しただけでは分からない。探して来てくださるお客様だけが見つけることのできる店を提案しました」。
 目印は、控えめな看板と住宅にしてはやや広めの駐車場だけ。実際、私たちと同様に店を見つけられず迷うお客様も少なくないそうだ。しかし、それが会話のきっかけとなり、親しんでくれるお客様も多い。そうやってファンを増やしてきた。







ショーケース上の吹き抜けは、2階のリビングダイニングにつながっている。

職住が融合する二人のおとな時間

 通りからショーケースが見えないこと。併設するカフェは、遮蔽されながらも明るく、目を楽しませてくれる庭が見えることなどの条件を、そう広くはない敷地に叶えるために林さんが提案したのがZ型。四角い土地に対して、ジグザグに建てることで生まれる隙間や死角を利用したのだ。その結果意図せず提案されたミラクルにご夫妻は感謝している。
 「当初は、店に生活感を持ち込みたくなかったので、店と住居は完全に切り離して欲しいとお願いしました。ところが、林さんは1階の店と2階の住居を貫く吹き抜けを提案してきたんです。それも、店の真ん中、ショーケースの真上に。その結果、チラ見えする住居に対してお客様が“素敵なお住まいですね”と声を掛けてくださったり、『おしゃれな夫婦の店』というイメージを持ってくださったりして、思いがけず職と住が支えあう素敵な店舗兼住居になりました」。
 ご夫妻は時間さえあれば食べ歩き、ケーキの研究に余念がない。リビングにはテレビがなく、二人でいる時はもっぱらケーキ談義だそう。
 現在パティシエとして腕を振るっているのはご主人だけだが、二人で新たなケーキを考えている時間こそ、夫妻にとって職住が融合した至極のおとな時間のようだ。

敷地に対しジグザグに建てることで生まれる遮蔽された三角形の隙間に中庭を設え、ショップとカフェエリアに彩を添えている。

夫妻共通の趣味がケーキ。仕事と遊びの垣根を超えて話は盛り上がる。

一人の時間が欠かせない奥様にとって寝室で過ごす自分だけの時間はリセットタイム。

PROFILE

※併設のカフェはコロナウィルス拡大防止のため営業休止中

祖父江正和・未由生
パティスリーマサ店主

パティスリー マサ
TEL.052-938-5168
愛知県清須市阿原神門103?2
営業時間:10時-18時/定休日:火・水曜

 


素材の美味しさがシンプルに感じられる洋菓子のお店。季節に応じて多くのメニューが入れ替わので行く度に発見がある。フランスで修行を積んだご夫婦らしく、クグロフやパンのメニューも並ぶ。

建築設計

建築士事務所 エクリアーキテクツ
TEL.052-700-3897
愛知県名古屋市昭和区川原通3-5-104
http://www.ecrit.jp

林伸嘉・海藤洋・薮下恵理の3人主宰の建築事務所。施主の願いや思いを、柔軟なアイデアで叶えてくれる。機能的かつ印象的な物件が多く、各種メディアから注目されている。


おとな同士が一緒に暮らすということ
『オオカワ建築設計室』大川さんの場合

無駄な空間の重要性

 日曜の東京日本橋。有名百貨店や大企業のオフィスが立ち並ぶ大通りから一本入った大川さんの家の前では、下町感溢れる犬友とのお茶会が開かれていた。普段ならスーツ姿のランチ難民が行き交っていそうなビルの谷間で。なんとも不思議な光景だ。
 「土日は人通りもないし、静かなもんですよ」と教えてくれたのは、1階の焼き鳥店『鳥和可』の店主で大川さんのご主人、若さんだ。早速、この夫妻らしいおとな時間を見た気がした。
 大川さんが、店舗だったこのビルを建て替えたのは、ご主人のお母様と同居するためだった。家族といえど、おとな3人が共に住まうには、さまざまな配慮が必要だ。この家には、建築士の彼女ならではのアイデアが散りばめられている。
 「みんなおとなで、染み付いたライフスタイルは変えられませんから、一緒に暮らすには、距離感が大切です。でも10坪弱だし、共用部分も多いし、さらに、法規的な問題もあるし。正直、匙を投げかけましたね。
 でも、思い切って、吹き抜けやバルコニーなど、何てことのない空間を入れ込んだら、急に暮らしのイメージが広がりはじめたんです。今、私の仕事場になっている部分は、吹き抜けだったんですよ。またいつか、次の事務所を構えるまでの仮事務所です」。

2階のダイニング&キッチン。見せる収納で、お気に入りの鍋や調理器具が整然と並べられている。

階段部分は1階からロフトに至るまですのこを利用した明るい吹き抜けとなっている。

こだわりの檜風呂。奥のベランダへは、お母様の部屋ともつながっている。 写真:吉田みちほ

 この家には、お母様のためのエレベーターがあり、その横には3階まで続く階段スペースがある。それだけでも15%近い面積をとっているのに、さらに20%近い床を吹き抜けにしたのは、2階がリビングダイニング&キッチンという共用スペースだったから。床を広げるより、抜けをつくる方が開放感があり、適度な距離が保てたそうだ。
 また、3階の風呂場やサニタリーを、同フロアにあるお母様の部屋と閉塞感なく仕切るために使ったのがバルコニー。そこへは、風呂場からもお母様の部屋からも出られるのだが、そこが外であることで、しっかりとした間合いがとれた。狭い敷地に吹き抜けだのベランダだの贅沢な気もするが、一家にとっては、快適に暮らすために必要不可欠な空間だったのだ。

70㎝ほど床を下げた仕事場からは、リビングでゴロゴロするご主人と目が合うそう。

ゆるやかな境目

 お母様の他界後、吹き抜けだった場所は、大川さんの仮設の仕事場に。当初から、必要に応じて部屋にすることを想定していたそうで、2階フロアから約70㎝ほど床面を下げて設えられた。
 「リビングやダイニングはくつろぐ場所ですから、その空気に引き込まれないよう、目線を一段下げることで境界を作りました。さらに集中したい時は、板で仕切ります」。
 仕事場という属性柄、社会とのつながりを大切にしたい大川さんは、オフィス街側の窓を壁面いっぱいに開けた。また、リビングに入るドアの手前で靴を脱ぐようにし、ドアを開けて入る住まいと、ステップを降りて入る仕事場に分け、精神的な境目を見出した。全てつながっているのにゆるやかに仕切られている。

2階の踊り場で靴を脱ぎ、正面の扉を入るとリビングへ、左へ降りると仕事場へ。

仕事場からリビングへとつながる開口は、板で閉じることもできる。

以前は吹き抜けだったという大川さんの仮設の仕事場。不要になれば吹き抜けに戻すのだそう。町とつながれるよう、大きな窓が開けられている。

晩酌する時は、照明を少して落として癒しの空間になるダイニングカウンター。

それぞれのリサイズ

 晩酌が日課の大川さんに対し、ご主人の若さんは、基本的に平日は飲まない。
 「音楽やバイク、掃除など、多趣味な彼はONとOFFをしっかり切り替えたいようで、営業日である月から金曜日は晩酌しません。
 一方私は、建築家という特性もあり、暮らしがヒントになりますから、24時間暮らしであり仕事であり、趣味ですらあります。境目がないので、1日1回リセットするためにも晩酌が欠かせないんです。まあ、晩酌中もプランを練ったりしますけれど」。
 お母様がご存命中は大きなダイニングテーブルを設置していたそうだが、夫婦二人になり、主に大川さんの晩酌の場となった今、テーブルは小さなバーカウンターとなり、照明を落として、家飲みを楽しんでいる。
 リサイズされたのは、ダイニングテーブルだけではない。1階の店も小さくしたそう。
 「以前は従業員を雇っていたのですが、建て替えを機に一人で切り盛りできるサイズにしました。躯体はプロに任せましたが、私がDIYしたところも多いんですよ。
 若い頃、音楽活動をしていたことを知って、音楽を聞きに来てくれるお客様もいるので、住居側の玄関にピアノを置いて、暇を見ては演奏しています」とご主人。
 自分に見合ったサイズや設えは、年齢や環境によって刻一刻と変わる。おとな時間を楽しませてくれる空間も折々、柔軟に変化させていけばいいのだ。

季節によって変わるという夫妻の寝室。現在は、ロフトを寝床にしている。冬に向けて天井材を張替えている途中だそう。

トイレ、ランドリー、洗面台、脱衣所が一体となったサニタリー。一体にすることで広さが確保できるので子どものトイレトレーニングやお年寄りの介助にもおすすめ。

サニタリーの上、ロフトの床を部分的にすのこ状にし、光を通すとともに、お母様の様子を感じとれるよう配慮していたそう。

ピアノが置かれた住居側のエントランスは、焼き鳥屋とシームレスにつながっており、ご主人の奏でるソウルフルなピアノが流れる。

自分に合った夢

 大川さんは、仕事の依頼を受けるとまず、施主の現在の住まいを訪問する。その際「片付けないでください」とお願いするそうだ。
 「シンプルですっきりとしたキッチンに憧れているからと、あれこれ収納スペースを作ったところで、そもそも出しっ放しの方が使いやすい人は仕舞い込まない方がいい。むしろ出したままでも格好良く見えるように設計することで、結果的にはその人の理想に近づけると思うんです。
 このように、お客様の憧れを形にしたけれど、結局うまく使いこなせず窮屈になることは少なくありません。
 だから私は、施主様のご自宅に伺い、実際の暮らし振りを観察させていただいて、理想が本当に実現できることかどうか、またどうアレンジすれば理想の本質に近づけるかを考え、その人に合った暮らし方をご提案するよう心がけています」。
 大川さんは、自分についても、少し未来の夢の暮らしをプランニングしている。
 「私は仕事が好きなので、どんなに年をとっても、できる形で建築設計に携わっていきたいと思っています。
 目下の夢は、機能的で美しい暮らしの道具を扱う荒物屋を営みながら、建築設計の相談にのるようなスタイルの店舗兼事務所を持つこと。それが私の理想とする〝町の設計事務所〟のカタチです」。
 料理は主にご主人の仕事だそうだが、道具へのこだわりは、大川さんの方が強く、着々と荒物屋の目を磨いている。
 大きな夢を持つのもいいが大川さんのように、具体的で実現可能な夢は、いろいろ経験を積んだおとなだからこそ見れる夢だ。そこへ向かって準備するのは、最高に楽しいおとな時間ではないだろうか。

ご主人が切り盛りする焼き鳥屋は、女性一人でも入りやすそうだ。

PROFILE

大川 三枝子
株式会社オオカワ建築設計室
代表/一級建築士

兵庫県宝塚市出身。東海大学工学部建築学科卒業。さまざまな職場での経験を活かし、単に建物をつくるのではなく、暮らしや町をつくる視点から取り組んでくれる異色の建築家。暮らしや家づくりに関するワークショップやイベントも開催している。

株式会社 オオカワ建築設計室
東京都中央区日本橋本町4-2-11
ookawa@omiedesign.net
http://omiedesign.net