住まいづくりに役立つヒント

住まいづくりに役立つ「防犯対策」

耐震や省エネと並んで、住まいに欠かせないのが防犯対策。大切な資産を守るため、安全・安心に暮らすためには、家づくりにおいてどんなことに気をつければよいのでしょうか。侵入者から家を守る効果的な防犯対策について、ホームセキュリティの関電SOSにポイントをうかがいました。

頻発する侵入窃盗のうち半数以上が住宅への侵入

 2006年に、住宅性能表示制度の10番目の評価項目として新たに「防犯に関する事項」が追加されました。これは、住宅の侵入防止対策を評価する項目で、ドアや窓などの開口部に防犯上有効な建物部品や雨戸などが設置されているかを評価するもの。
 住む人のニーズに加え、こうした制度上の背景もあり、最近では性能の高い鍵や窓などが普及し、防犯対策の講じられた家が増えました。警察庁の調査によると、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は2003年以降15年連続で減少しています。
 とはいえ、2016年においても44204件と、いまだ1日あたり約100件も発生しています。中でも、空き巣は約60%と半数以上を占めており、外出時の防犯対策をとることが非常に重要です。

 その手口は年々巧妙化しています。侵入者は、行き当たりばったりでターゲットの住宅を選んでいるわけではなく、入念に現場の下見をして、家の構造や犯行後の逃走ルート、周辺の人通りなどを周到に確認しています。
 狙った家が留守になる時間帯を知るために、洗濯物を干しているか、郵便受けに新聞がたまっていないか、照明がついているかなどをチェックするほか、実際にインターホンを押してみたり、電話をかけたりすることも。
 大切なのは、ターゲットにされにくい家づくりをすること。まずは防犯チェックで、我が家に侵入リスクの高いところがないかを確認してみてください。

我が家の防犯対策で気をつけるべきポイント

 家の防犯には、周辺の環境や住む人の生活習慣が大きく関わっています。環境面では、隣や裏に駐車場や公園などがある家は要注意。普段から不特定多数の人が行き来するため、見知らぬ人間が少しの時間、滞在していても不審に思われることがなく、侵入者が下見しやすくなります。
 新興住宅地域も狙われやすい地域の一つ。ご近所同士で挨拶を交わすような地域コミュニティが確立されていないケースもあり、作業着を着た工事関係者やスーツ姿の営業マンを見かけることも多いので、侵入者がまぎれ込みやすくなるのです。
 また、「我が家は塀で囲まれているから安心」と考えるのも誤解です。一度乗り越えてしまえば姿が外から見えなくなるため、侵入者にとっては逆に好都合。防犯のことを考えれば、オープン外構のほうがおすすめです。
 普段、何気なく行なっている習慣にも、侵入の隙を与えるリスクが潜んでいます。例えば、外出時に照明を消すこと。これは当然のことに思われますが、家の中が暗いと外から見ても不在と分かってしまいます。留守がちの家ほど狙われるリスクは高まるため、外出時にも電気を付け、在宅しているという演出を行うほうが良いでしょう。
 留守番電話に「外出しています」というメッセージを流すと、侵入者が下調べで電話をかけた際に不在だと分かってしまいます。特に「旅行に出かけています」といった長期の不在が知られてしまうものは、侵入するのに絶好のタイミングだと教えているようなもの。旅行であっても「すぐに戻ります」というようなメッセージの方がおすすめです。
 また、小さなお子さんが留守番をする時、インターホンが鳴っても出てはダメ、と教えている家庭も多いですが、居留守を使うのは避けた方が良いでしょう。留守と思って侵入した泥棒とお子さんが鉢合わせする危険性があります。出ないのではなく、インターホンできちんと対応することをおすすめします。
 窓にシャッターが付いている場合は、面倒でも閉めておきましょう。シャッターを閉めると留守だと思われてしまう、と考える方もいますが、留守かどうかは電話やインターホンでも確認できます。侵入に時間をかけさせる効果を優先したほうが、侵入リスクは低くなります。

一戸建てと共同住宅、それぞれの侵入の傾向は?

 「一戸建て」か「共同住宅」かによっても侵入の傾向は異なります。警察庁の統計データによると、一戸建ての場合は、ガラスを破った窓からの侵入が多いです。共同住宅のように近距離に隣人がいるわけではないため、施錠された窓ガラスを割って入るという大胆な犯行が多いようです。また、庭や車庫、勝手口周辺も侵入経路となる可能性があります。

 共同住宅の場合、4階建て以上では玄関、3階建て以下の場合は窓からの侵入が多いようです。侵入口が限られているため、一戸建てと比べると被害件数が少なく、4階建て以上の被害は更に減ります。しかし、オートロックの集合住宅でも住人のあとをつけるなどして突破されているケースがあるので、油断はできません。

侵入の手口から考える窓まわりの防犯対策

 侵入経路として多い窓は、「鍵をかけていれば大丈夫」ということはなく、厳重な防犯対策が不可欠です。窓によく使われる、半円形の鍵をくるっと回す「クレセント錠」は、鍵の周りのガラスを割って外から簡単に開けられてしまいます。補助錠やセンサーをつけるなどの対策を行いましょう。
 また、外出時に開けたままにしてしまいがちなのが、浴室やトイレの窓。小さな窓でも、手の届く高さにあり、体が入るだけの隙間があれば十分に侵入することができます。外出時は必ず施錠を。
 窓ガラス選びも大事なポイントです。一般的なのは単板ガラスですが、ドライバーやガスバーナー、アイスピックなどを使えば簡単に割れてしまいます。網入りガラスやペアガラスは防犯に効果があると思われがちですが、それぞれ、火災時のガラスの飛散を防ぐ、省エネ性能を高めるといった効果はあるものの、防犯性能が高いとは言えません。
 おすすめは「防犯ガラス」。2枚以上のガラスの間に特殊なフィルムを挟んでいるため貫通しにくく、穴を開けることも困難です。特に、防犯性能が高いと認められた「CPマーク」のある商品がおすすめです。



泥棒が侵入することを諦めるのはどんな家?

 泥棒が嫌がるは、侵入に「手間がかかる」あるいは「時間がかかる」家です。都市防犯研究センター調査によると、5分以内に侵入できない場合は泥棒約7割が、10分以内に侵入できない場合は9割以上が侵入を諦める傾向にあるとのこと。
 また、侵入を諦めた理由で多いが、「物音・足音・話し声」といった人気配や「センサーライト」「門灯」など光。つまり、玄関や窓などに侵入が面倒と思わせる対策を施すことに加え、音や光を発生する防犯ツールを組み合わせることが、泥棒撃退に有効です。

侵入を困難にする性能の高い鍵とは?

 玄関ドアや窓からの侵入手口は年々巧妙化しています。防犯性の低い鍵の場合、針金などの道具を使って鍵穴から解錠する「ピッキング」で簡単に侵入されてしまいます。例えば、写真のような「ディスクシリンダ」や「ピンシリンダ」には不正開錠対策がなされていないため、手慣れた人なら十秒程度で開けることができます。
 ピッキングには、防犯性能の高い鍵の取り付けや、補助錠の取り付けが有効です。おすすめは「ディンプルシリンダ」タイプ。ピッキング対策として開発された鍵で、表面に丸いくぼみが複数あり、シリンダ内部にある「ピン」と呼ばれる凹凸と一致することで開く仕組みです。従来の鍵よりも複雑な構造になっていますが、メーカーや商品によってその性能はさまざま。ピンの数が多く、耐ピッキング性能表示が10分以上とされている、信頼できる鍵を選びましょう。


 外側からドアに穴を開けて、室内側のつまみ(サムターン)を回しドアを開ける「サムターン回し」も常套手段の一つ。この手口には、サムターン回し対策を施した特殊な鍵で不正解錠を防ぐことができます。
 補助錠を使った「1ドア2ロック」も有効な対策法です。ただし、補助錠を適した設置位置に取り付けるのがポイント。主錠の近くや下部ではなく、泥棒が隠れて作業しにくい上部に取り付けるようにしましょう。もちろん、主錠は不正解除対策された防犯性の高いものを選ぶことが必須です。



意識を高めることが防犯に強い家をつくる

 「我が家は盗られるものはないから大丈夫」と考えていませんか?警察庁の統計では、盗まれるものは現金や貴金属だけでなく、パソコンや家電製品、衣類に食料品などさまざま。被害に遭わないためにも、防犯意識を高めることが大切です。

 ゴミ出しの間や近所の人と話している間、庭の手入れをする間など、ほんの数分の留守でも泥棒は犯行に及びます。下見で在宅状況を把握され、朝、駅まで家族を送っていく10分間に泥棒に入られたケースもあります。また、在宅時なら侵入されない、というわけではありません。侵入窃盗のうち多くは不在時ですが、在宅時の侵入もあるのです(P56の円グラフ)。在宅か不在かに関わらず玄関や窓にはこまめに鍵をかけましょう。就寝時の侵入もあるので、夏でも窓を開け放して寝るのは危険です。
 地域コミュニティも防犯上とても大切です。近所同士の付き合いが盛んな地域には、不審者への監視の意識が働くため、泥棒が侵入を避ける傾向があるのです。近隣の人とすれ違った時には挨拶をして、地域ぐるみで狙われにくい環境をつくりましょう。
 防犯対策にどの方法が適しているかは家族のライフスタイルや家の周辺環境によっても異なります。専門家に相談すると防犯診断などを行い、我が家に適したプランを考えてくれます。ホームセキュリティのステッカーを玄関に貼るだけでも、侵入の抑止効果が生まれるといいます。
 侵入窃盗に遭うと、金銭的な被害だけでなく精神的にも大きなショックを受けます。被害を未然に防ぐためにも、住まいづくりの防犯について、今一度考えてみましょう。

取材協力
株式会社関電セキュリティ・オブ・ソサイエティ
竹岡康樹さん 名定利彦さん