住まいづくりに役立つヒント

家を守るための経済的な備え地震保険について知ろう

損害保険料率算出機構が2015年に実施した「地震危険に関する消費者意識調査」によると、大阪府では近い将来居住地域で大地震が発生する可能性について、「起こると思う」「もしかしたら起こると思う」と答えた人の割合は8割を超えています。しかし、同機構の資料によると、大阪府の地震保険の世帯加入率は2017年末で32.2%(全国平均31.2%)にとどまっています。今回は、地震保険について紹介していきます。

地震が起こった時、生活の再建のために必要なことは?

 2018年6月に発生した大阪府北部地震では、被害の大きかった高槻市や茨木市で、損害の程度に応じて助成金の給付や物資の貸し出しを行う支援窓口が設置されました。これは、災害救助法と被災者生活再建支援制度にしたがって、最低限のライフラインを維持できるように支援する公的な仕組み。
 しかし、これらの支援は被災者の生活の立て直しを応急的に支援するためのもの。次の表のとおり、建物を建て直したり失った家財を買い直したりするには決して充分とはいえません。


 日本では、家や家財などの私有財産が自然災害による被害を受けた場合、生活再建を自助努力で行うのが基本とされています。その方法のひとつが、火災保険と地震保険への加入です。火災保険に加入すれば、契約内容により、火災や落雷、風水害などさまざまな自然災害による損害に対して、また、地震保険の場合は、地震や噴火または、これらによる津波を原因とする損害に対して、それぞれ保険金を受け取ることができます。今一度、ご自身の家がどのような保険に加入しているのか確認を。未加入の場合は、自然災害に備えて加入の検討を始めたいものです。

支払われた地震保険金は、大阪府北部地震が歴代3番目

 大阪府北部地震では、被災者に支払われた地震保険の保険金が「1 0 3 3 億2 0 0 5 万円(2018年12月11日時点)」にのぼりました。これは、阪神・淡路大震災で支払われた保険金の「783億円」を大きく上回る、歴代3番目の金額。なお、歴代一位は東日本大震災の「1兆2795億円」、歴代2 位は熊本地震の「3824億円」です。阪神・淡路大震災より被害の少なかった大阪北部地震の保険金がこれだけの金額になった理由は、地震保険契約者が増加したため。多くの人が、地震保険によって保険金を受け取ることができました。
 地震保険は、火災保険にセットする形で加入します。火災保険に加入している世帯のうち、地震保険が付帯されている割合は年々増加傾向にあり、大阪府は2017年度で約59.8%。しかし、全国平均の約63%と比べてもまだ高いとは言えません。


地震保険は被災後の当面の生活を支える保険

 1966年、「地震等による被災者の生活の安定に寄与すること」を目的として、「地震保険に関する法律」が制定されました。地震保険は、建物や家財が「地震」や「噴火」で損害を受けた場合や、地震や噴火が原因で発生した「火災」や「津波」によって損害を受けた場合に保険金が支払われます。
 例えば、地震によって家屋が倒壊した場合はもちろんのこと、地震が原因で火災が発生して家や家財が焼失した場合や、津波が発生して家が流失した場合にも保険金を受け取ることができます。また建物や家財の損害は、地震後に時間差で発生することが多いものです。地震保険では、地震発生日の翌日から起算して10日以内の損害であれば発生当日でなくても補償されます。


 一方、火災保険はさまざまな自然災害による損害に対して保険金を受け取ることができますが、地震・噴火・津波によって発生した損害では、補償を受けることができません。したがって、地震による損害に備えるには地震保険への加入が不可欠なのです。
 地震保険は被災後の当面の生活を支えるものなので、被災された契約者の生活再建のため、迅速に保険金を支払うべく4つの損害区分に応じて保険金を支払う仕組みになっています。そして地震保険は、単独で加入することはできず、必ず火災保険にセットする形で加入します。これから火災保険に加入する方は、地震保険の付帯も検討してみてはいかがでしょう。また、現在加入している火災保険に地震保険を付帯していない場合、火災保険の契約期間の途中であっても、地震保険に加入することができます。



地震保険の対象は?保険料や割引制度は?

 地震保険の対象は建物と家財で、それぞれ別に契約する必要があります。契約金額は、「火災保険の契約金額の30〜50%の範囲内」で、かつ建物は上限5000万円、家財は上限1000万円と定められています。例えば、火災保険で建物にかけた契約金額が2000万円の場合、地震保険は600?1000万円の範囲で設定しなければなりません。仮に火災保険の契約金額が2億円の場合でも、地震保険は最大5000万円までになります。


 保険料は、お住まいの地域や建物の構造によって区分されています。これは、地域によって地震発生リスクが異なり、建物の構造によって損壊や焼失のリスクが異なるため。したがって、鉄筋・コンクリート構造より木造のほうが保険料が高くなります。しかし、建築基準法の耐震基準を満たす場合など、建物の免震や耐震性能に応じた割引制度があります。割引率は最大で50%。ご自身の家が条件を満たすかどうか、確認してみましょう。
 なお、生命保険と同様に、地震保険も年末調整や確定申告の際に控除対象となり、所得税や住民税を安く抑えることができます。



できるだけ早く公正に保険金を支払えるしくみ

 大規模な地震が発生した場合、巨額の保険金を民間の保険会社だけで補償することは困難です。そのため、地震保険は政府と民間の損害保険会社が共同で運営しています。地域や建物構造による違いはあるものの、保険会社によって保険料が異なることはありません。
 「地震保険に関する法律」により、1回の地震等による総支払限度額は11兆7000億円に設定されており、支払い規模により民間の損害保険会社と政府の負担割合が決められています。大規模な地震では、政府がより大きな負担をする仕組みとなっています。1回の地震で支払われる保険金が871億円以下の場合は全額を民間が負担し、871億円から1537億円までは政府と民間が50%ずつ負担します。さらに1537億円を超える部分は政府がその約99.9%を負担します。


 なお、被害を受けた建物や家財は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つの損害区分に応じた保険金が支払われる仕組みになっています。これは、被災した契約者の生活再建のために迅速に保険金を支払うためです。
 いつ発生するかわからない地震に備えるには、地震保険は必要。これから家を建てようと考えている方は、免震・耐震性能の優れた構造にすることで割引制度を利用することもできますから、ぜひ、地震保険への加入を検討しましょう。

取材協力
一般社団法人 日本損害保険協会 近畿支部 http://www.sonpo.or.jp/

※2019年8月取材時の内容となります。