住まいづくりに役立つヒント

理想の暮らしを実現する中古住宅えらび

リーズナブルな価格で立地に優れた場所を選べたり、リノベ―ションで自分好みの空間を作ることができたり…。中古住宅だから叶う「理想の暮らし」があります。今回は、そんな暮らしを実現するために購入前にチェックしておきたい中古住宅えらびのポイントをご紹介します。

その住宅の将来の資産価値は?

 新築住宅、中古住宅どちらであっても、住宅を購入するときに考えておきたいポイントの一つが、将来におけるその住宅の資産価値、つまり、仮に将来住宅を手放すことになったとき、どれぐらいの価格になるかという点です。
 家族構成やライフスタイルが変化したとき、よりそのときの自分たちの暮らしにフィットする住宅を新たに求めやすくするためにも、将来における資産価値を考慮にいれて、購入判断をすることは大切です。 もちろん、将来における住宅の資産価値は分かりませんが、購入予定エリアの過去数年間にわたる土地価格の変動をつかんでおくことで、資産価値を予想することはできます。

地価変動の傾向を購入時のヒントに

 土地の価格は、日本の経済状況や、その地域の状況などによって変動します。
 変動の仕方に一定の傾向がみられる場合、何らかの変化が起きない限り、今後もその傾向が続く可能性が高くなります。
 例えば、駅の新設が決定すると、一般的に付近の地価は上昇します。いずれは横ばいになりますが、数年間は上昇傾向が続く可能性が高いといえます。
 一方、過疎化が進むとそのエリアの地価は下落する傾向があります。 仮に、毎年2%の割合で地価が下落すると、20年で土地価格は、下落前の時点と比べて約2/3、30年で約半分になります。
 住宅を購入するときは、地価変動の傾向も一つのヒントとして活用してみましょう。
 一年間の土地価格の変動は、無料のスマホアプリ「鑑定の友」(公益社団法人大阪府不動産鑑定士協会)で調べることができます。見たい地点の住所を入力すると、その地点の周辺の地価公示(※1)、地価調査の価格(※2)、1年間の変動率が表示されます。

※1 地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を公示するものです。 ※2 国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が、毎年7月1日時点における基準地の標準価格を判定するものです。

購入前のチェックポイント

■ 立地・住環境

 駅からの距離など、立地条件は中古住宅の資産価値に大きく影響します。
 一般に土地価格は立地条件に影響されます。そして中古住宅のうち、戸建の場合はリフォームなどをしていなければ、20?30年後には、建物の価値はほぼ失われます。
 そうすると、中古戸建を売却するときには、その資産価値は土地価格のみになるため、土地価格に影響する立地条件が、中古住宅の資産価値を大きく左右することになります。
 立地条件としてまず大切なのは駅からの距離と、その駅自体の利便性ですが、この他にも資産価値を左右するポイントがいくつかあります。

自然災害に対する安全性
 自然災害のリスクが高い地域は、需要が少なく、地価が低くなる傾向があります。国土交通省や地方公共団体が公開しているハザードマップなどで安全性を調べておきましょう。

交通量、騒音、匂い
 車の交通量や、騒音など暮らしやすさに関わることも資産価値に影響します。これらは、曜日や時間帯などで変わるので、何度か訪れてチェックするのがおすすめです。

地域の安全性
 マンションの敷地内や、大規模な住宅団地には、公園が作られることが多くあります。住宅の近くに公園がある場合、日当たりや風通しが良くなる一方、人が集まりやすくなったり、音が気になったりすることがあるので、チェックしておきましょう。

■ 戸建住宅

隣地や道路との高低差
 敷地が、隣地や道路と比べて高い場合、日当たりや風通しが良くなる一方、擁壁や階段を設置しなければならないことがあります。その場合、市場における選好性が低くなり、資産価値が下がることがあります。

■マンション

間取り
 マンションの間取りは、ファミリー層が買い手の場合、3LDKが一般的です。それ以外の間取りになると、買い手が限られ、単価が低くなることがあります。5LDKなど、買い手の限られる間取りを検討する場合は、資産価値が下がるリスクも考慮に入れておきましょう。

外壁やゴミ捨て場の状態
 マンションの外壁やゴミ捨て場の状態は、マンションの管理組合が機能しているか、修繕計画が実施されているかを推し量る目安になります。外壁にヒビが入っていれば、適切に修繕計画が実施されていないのかもしれません。 気になる点があれば、仲介業者や売り主に管理組合の状態やマンションの修繕実施状況を確認しておきましょう。



中古住宅市場の現状
 全住宅流通量のうち、中古住宅が占める割合は、約14.5%(平成30年)、その流通量(持家として取得した中古住宅数)は、横ばい状態が続いています(※3)。
 国土交通省は、中古住宅市場の課題の一つとして「売主・買主間に中古住宅の品質に関する情報の非対称性が存在することにより、市場の透明性が低く、中古住宅の取引に対して消費者が不安を抱えていること」を挙げています(※4)。
 実際、新築住宅取得者に対するアンケートでは、中古住宅を選択しなかった理由として「隠れた不具合が心配だった」、「耐震性や断熱性など品質が低そう」といった回答が挙げられています(※5)。
 そこで、国土交通省は、消費者が安心して中古住宅の取引を行える市場環境を整えることなどを目的として、宅地建物取引業法を改正しました。
 それにより、平成30年4月から媒介契約書に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載することや、建物状況調査の結果の概要などを重要事項として説明することなどが定められました【図1】。

※3 出典:「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001314574.pdf
※4 出典:「改正宅地建物取引業法の施行について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/common/001201151.pdf
※5 出典:「平成30年度住宅市場動向調査~調査結果の概要~」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/common/001287761.pdf




建物状況調査とは
 宅地建物取引業法に規定される「建物状況調査」とは、既存住宅状況調査技術者(国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士)が、既存住宅状況調査方法基準に基づいて行う調査です。
 建物の基礎、外壁などに生じているヒビ割れ、雨漏りなどの劣化・不具合を目視、計測などにより調査します。
 調査費用は、調査実施者により異なります。「(一社)全日本ハウスインスペクター協会」の標準的な料金の目安は、基本的な調査の場合、40坪(約132㎡)程度までは4~6万円、以降1坪(約3.31㎡)増えるごとに千円ずつ加算されます(設計図書の有無などによって変わる場合があります)。

建物状況調査を行うメリット

■トラブル発生リスクを減らす
 建物状況調査を行っておくことで、「雨漏りが発生した」、「建物が傾いてきた」など、購入後のトラブル発生リスクを減らすことができます。
 また、建物の状態を正確に把握できるため、メンテナンスやリフォームの計画も立てやすくなるでしょう。さらに、調査により劣化が進んでいることが分かれば、購入の是非を再検討したり、値引き交渉の材料としたりすることもできます。



■保険に加入するために
 中古住宅(既存住宅)を売買するときに加入できる保険として「既存住宅売買瑕疵保険」があります。この保険に加入するためには、建物状況調査を行う必要があります。
 調査は、住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)の登録を受けた検査事業者が行います。調査の結果、劣化・不具合などが無いなど一定の条件を満たせば保険に加入できます。加入することで、後日、既存住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分などに欠陥(瑕疵)が見つかったとき、修補費用などの保険金が支払われます。【図2】の場合は、検査・保証を行う検査事業者が保険に加入し、検査事業者に保険金が支払われます。修補などは検査事業者から受けることができます。



■補助を受けるために
 既存住宅の長寿命化や省エネ化などに資する性能向上リフォームや、子育て世帯向け改修を支援する事業として「長期優良住宅化リフォーム推進事業」があります。この事業による補助を受けるための要件の一つとして、リフォーム工事前に建物状況調査を行うことが定められています。詳しい要件などは、国土交通省のホームページで確認できます。

専門家に相談を

 建物状況調査を行うことで、より安心して中古住宅を購入することができます。中古住宅だから叶う「理想の暮らし」を実現するためにも、専門家に相談するのもおすすめです。



一般社団法人
全日本ハウスインスペクター協会
https://house-inspector.org/
026‐217‐3755(平日10時〜16時)

取材協力
ひびき不動産鑑定株式会社 不動産鑑定士 中村光伸さん
一般社団法人 全日本ハウスインスペクター協会 会長 加藤正明さん