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理想の家づくりを実現するための土地探し

「家族で過ごせる広いリビングがほしい」、「駅が近くて便利な場所に住みたい」―。“理想の家”は人によってさまざまです。今回は、理想の家を実現するために、知っておきたい土地探しのポイントについてご紹介します。

「用途地域」を土地探しのヒントに

 理想の家を実現するための土地探しにあたっては、地域のイメージが分かる「用途地域」がヒントになります。用途地域とは、主に市街化区域(※1)に設けられる地域区分で、13種類あります【表1】。
 ここでは、住居系の用途地域の中でも、戸建て住宅が多く立ち並ぶ地域をご紹介します。
 まず、第一種・第二種低層住居専用地域は、用途地域の中で最も良好な住環境を保護する地域で、主に1?2階建ての戸建て住宅が立ち並びます。建物の高さに関する規制が厳しく、絶対高さ制限(64ページ参照)を超える高い建物が建つことはありません。
 また、店舗の建築に関する規制も厳しく、第一種低層住居専用地域では、店舗は住宅兼用のもので、店舗部分の床面積が50㎡以下かつ、建物の延床面積の1/2未満の小規模なものに限られます。したがって、静かな住環境が確保されますが、一方、場所によっては日用品の買い物が不便になることもあります。第二種低層住居専用地域には、日用品を扱う店舗など、床面積が150㎡以下の店舗が建てられます。店舗がある点で生活の利便性は高まりますが、一方、自宅の隣の空き地に店舗ができるといったことも考えられます。

 次に、第一種・第二種中高層住居専用地域は、中高層住宅の良好な住環境を保護する地域で、主に2~3階建ての戸建て住宅やマンションが立ち並びます。 第二種中高層住居専用地域では、床面積1500㎡以下のオフィスビルや店舗(※2)が建てられるので、例えば近所に中規模のスーパーがあるといったことも。
 用途地域は他にも9種類あり、これらは一体となって町を形成しています。それゆえ異なる用途地域が隣り合う場所もあり、そういった場所に住宅を建築する場合は、両方の地域の影響を受けます。
 そこで、土地を探す際には用途地域を参考に、実際に町を訪れてみるのがおすすめです。役所によっては、ホームページ上で都市計画図が公開されており、指定した場所の用途地域を調べることができます。または役所の都市計画課に問い合わせることも可能です。

※1 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に 優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として定められています。 ※2 いずれも2階以下に限られます。

敷地のチェックポイント

 その敷地が理想の家づくりを実現できる土地かどうか、実際に訪れてみなければ分からない点もあります。特に、住み心地に関するポイントは、現地でチェックしておきましょう。

① 敷地と道路との高低差

 敷地とそれに接する道路との高低差は、車や人の出入りに影響します。敷地が道路より低い場合は雨水が流れ込んできたり、日照が阻害されたりすることも。敷地が道路よりも高い場合は、日当たりがよく、眺望に優れますが、擁壁や階段を設置しなければならない場合もあります。

② 接する道路の幅

 接する道路の幅は、車の交通量や、道路斜線制限による建物の高さ制限に影響します。道路幅が広く、車の交通量が多いと騒音や排気ガスなどが生じる一方、車の出し入れがスムーズになったり、日照や通風が優れたりといったメリットもあります。

③ 眺望の良い方角

 公園など眺望の良い方角があれば、窓の位置を工夫することで、借景として取り入れることができます。間取りを考えるためにチェックしておきましょう。

④ 隣接する建物の窓の位置

 隣接する建物の利用者との間において、プライバシーに配慮するため、間取りを考えるときは、隣接する建物の窓の位置を確認しておきましょう。

⑤ 周辺建物

 24時間営業の店舗の有無など、周辺の建物は住環境に影響します。自分のライフスタイルに合った環境を検討しましょう。

⑥ 電柱や支線の位置

 電柱や、電柱を支える支線や支柱の位置は、窓からの景観や駐車場の位置に影響します。間取りを考えるときに、電柱の位置などを確認しておきましょう。

災害時の安全性

 理想の家に長く住むために、災害時の安全性もチェックしておきたいポイントです。国土交通省では、防災に役立つ情報を地図や写真に重ねて表示する「重ねるハザードマップ」や、全国の市町村が作成した「わがまちハザードマップ」をポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)で公開しています。
 例えば「重ねるハザードマップ」では、地図上に、「洪水浸水想定区域」「ため池決壊による浸水想定区域」を重ねることにより、洪水が起きたときの危険性が表示されます。

● 重ねるハザードマップ

さまざまな法規制

 理想の土地を見つけても、そこで思い通りの家づくりができるとは限りません。土地に建物を建てるときには、さまざまな法規制がかかるからです。

【1】 家の大きさに関わる規制

● 「建ぺい率」と「容積率」

 「家族で暮らすには何部屋必要だろう?」「リビングはどれぐらいの広さが欲しい?」。部屋を考えるときに知っておきたいのが、家の大きさに関わる「建ぺい率」と「容積率」です。
 建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合です【図1】。例えば、建ぺい率の上限が50%の場合、敷地面積100㎡に対して、建築に使える面積は50㎡までになります。
 容積率とは敷地面積に対する建物の延床面積の割合です【図2】。延床面積とは、建物の各階の床面積の合計をいいます。
 例えば、容積率の上限が100%の場合、敷地面積100㎡に対して、延床面積は100㎡までになります。したがって、各階の床面積が50㎡であれば、2階建ての戸建て住宅を建てることができます。
 「建ぺい率」と「容積率」は、用途地域ごとに指定されています【表2】。

● 建ぺい率、容積率と住環境の快適性

基本的には、建ぺい率と容積率の値が大きいほど大きな建物が建てられます。では理想の家を実現するために、それらの値が大きな敷地を選ぶのが良いでしょうか。
 そこで、建ぺい率、容積率と住環境との関係をみておきましょう。
 一般に、建ぺい率や容積率の値が大きなエリアでは、高い建物が密集します。例えば、商業地域では建ぺい率が80%(※3)、容積率が200~1300%と、住居系の用途地域よりも大きな値が指定されており、高層ビルや店舗が密集することになります。
 このような地域に戸建て住宅を建築しようとすると、日照や通風の確保が難しくなり、住環境の快適性を重視する場合には理想の敷地とはいえません。
 一方、最も良好な住環境を保護する低層住居専用地域は、建ぺい率が30~60%、容積率が50~200%と低く指定されており、主に1階~2階建ての戸建て住宅が立ち並びます。その結果、そのエリアは閑静な住宅街を形成することになります。
 つまり、「日当たりの良さ」「落ち着いた静かな環境」など、住環境の快適性を重視する場合、建ぺい率、容積率は低い方が住宅の建築に適した土地といえるのです。

● 容積率に含まれない部分

 限られた敷地を有効に活用するために知っておきたいのが、容積率の計算に含まれない部分です。例えば、住宅の地下室や吹き抜けは容積率の計算に含まれません(※4)。専門家と相談しながらこういった部分も活用しましょう。

※3 商業地域では、建ぺい率の特例により、80%という建ぺい率の上限が撤廃されていることが多くあります。その場合、敷地いっぱいに建物を建築することが可能になります。 ※4 住宅の地階で、その天井が地盤面から高さ1m以内にある場合、その住宅の延床面積の1/3を限度に、住宅の用途に供する部分の床面積は、延床面積に算入されず、したがって容積率の計算に含まれません。

【2】家と道路の関係

● 接道義務

 町を見渡してみると、ほとんどの住宅やマンションは道に面していることが分かります。これは、建築基準法で定められた「接道義務」を果たしているからです。
 接道義務とは、建物の敷地が建築基準法上の「道路」に2m以上接していなければならないという決まりです【図3】。この義務を果たしていなければ、その敷地に住宅を建築することはできません。
 建築基準法上の「道路」とは、原則、幅員4m以上のものをいいます。「4m」という数値は、車がすれ違うために必要とされる幅員で、消防車や救急車が通行できる幅員を確保しようとするものです。また、採光や通風を確保するためにも、道路の幅員は必要になります。

● 路地状敷地(旗竿地)

 路地状敷地(旗竿地)とは、一般に竿のついた旗のような形をしている土地をいいます【図4】。もとは一体だった大きな敷地が、売買などで分割されたときに、このような形になることがあります。
 通常の敷地であれば、建築基準法上の道路に最低2m接していれば住宅を建てることができます。ところが、路地状敷地の場合、路地状部分の長さによっては、さらに厳しい規制が設けられることもあります(※5)。この規定を満たしていなければそこに住宅を建築することはできません。
 なお、住宅を新築する場合、路地状敷地のメリットは、住宅部分が道路に面していないため、静かな住環境が確保されることや、プライバシーが保たれることなどが考えられます。一方、形状によっては、路地状部分の利用方法が限られたり、日照や眺望が制限されたりといったデメリットもあります。一般的には、同じ面積をもつ整形地と比較した場合、安価になることが多いといえます。

● 2項道路

 建築基準法上の「道路」は、原則、幅員4m以上のものをいいますが、古くからの道は4m未満のものもあるため、この原則だけではこれらの道沿いの建物が接道義務に違反することになってしまいます。
 そこで、建築基準法の規定が適用されたとき、すでに建物が立ち並んでいる幅員1.8m以上4m未満の道で、市町村や都道府県(※6)が指定したものは、建築基準法上の「道路」として扱うことになっています。この道路は建築基準法42条2項で「道路」として定められていることから、「2項道路」といわれます。

● セットバック

2項道路の場合、将来的に道路の幅員を4m以上確保するため、その道路の中心線から左右2メートルずつ後退(セットバック)した線までを「道路」とみなします(※7)【図5】。
 セットバックした部分には新たに建物を建築することはできません。したがって、購入した敷地に接する道路が2項道路である場合、セットバックした部分は敷地面積に算入されず、住宅の新築に使える面積が小さくなってしまうのです。
 敷地を購入するときには、その敷地に面している道路が2項道路かどうか、事前に役所や不動産取引業者に確認しましょう。

※5 路地状敷地に建物を建築する場合の、路地状部分の幅や長さの制限は、地方公共団体がそれぞれ条例で定めています。  ※6 2項道路の指定を行うのは特定行政庁です。 ※7 道路の反対側が河川、崖などの場合は、河川などの境界線から4m後退した線までを「道路」とみなします。

【3】家の高さに関わる規制

 快適な生活を送るために、日当たりは大切なものです。法律上明確な定義はありませんが、私たちには日当たりを確保する権利が認められており、それを日照権といいます。 この権利の保護につながるものとして、建物の高さに関するいくつかの規制があります。

● 絶対高さ制限

 良好な住環境を保護するため、第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、建物の高さは、原則として10mまたは12メートル(絶対高)を超えてはいけないという決まりがあります【図6】。10m~12mというと、およそ木造なら3階建て、コンクリート造なら4階建て程度です。

● 道路斜線制限・ 北側斜線制限

 建物の日照や通風などを確保するために、道路斜線制限、北側斜線制限という高さの制限があります。
 道路斜線制限とは、道路上空の建物を建てられる部分を制限するものです。敷地の接する前面道路の、反対側の境界線から、一定の勾配の斜線の範囲内に建物を納めなければいけないことが定められています【図7】。
 北側斜線制限とは、北側にある隣地の日照を確保するための制限です。特に、居住環境を守るためのもので、第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域で適用されます。
 北側の隣地の境界線上に、一定の高さをとり、そこから一定の勾配の斜線の範囲内に建物を納めなければいけません【図8】。

● 日影規制

 日影規制とは、建物が日影を作る時間を制限することによって、周囲の敷地にある建物が一定の日照時間を確保できるようにするための規制です。 日影規制では、建物の高さは、基準日において、一定時間、一定の高さ及び、一定の距離内に日影を作らないものとしなければならないと定められています【図9】。基準日は、一年で最も影が長くなる冬至の日とされています。

【4】 防火・準防火地域など

 都市計画法では、市街地における火災の危険を防除するための地域として、防火地域・準防火地域が定められています。
 これらの地域では、住宅を含めて、建物の構造や材料に一定の規制がかかります。その規制により、建築費が変わることがあります。

● 防火地域

 防火地域は、建物が密集する市街地において、火災の危険を防除するための地域です。防火上の規制が最も厳しく、多くは駅前や主要幹線道路沿いの地域が指定されます。
 防火地域では、原則として建物は耐火建築物、または準耐火建築物にしなければなりません(※8)【表3】。
 耐火建築物、準耐火建築物とは、一般的には鉄筋コンクリート造やレンガ造の建物です。

● 準防火地域

 準防火地域は、防火地域の周囲を囲むような形で指定されることが多く、主に住宅密集地が指定されます。準防火地域では、地上2階建て以下で、かつ延床面積が500㎡以下であれば、木造建築物を建築することができます。ただし、この場合も、外壁や軒裏などは防火構造とする必要があります。

● 法22条区域

 法22条区域とは、建築基準法22条に規定された区域で、屋根(22条)や外壁(23条)に規制がかかります。
 例えば、屋根はコンクリートなどの不燃材料で造るか、瓦などで覆うことが義務付けられます。
 また、建物が木造の場合は、延焼する恐れのある外壁は土塗壁などにする必要があります。

※8 2019年6月施行の建築基準法の改正で、防火地域・準防火地域であっても、延焼防止性能の高い建築物は、 耐火建築物・準耐火建築物にしなくてもよいことになりました。

防火地域、準防火地域に住宅を建てる場合

 購入した土地が、防火地域、準防火地域にある場合、構造や材質に制限がかかります。例えば、ドアは防火ドアにしたり、窓は網の入った防火窓にしたりする必要があります。特殊な素材を使用するため、一般に、建築費はそうでない地域に比べて高くなります。

■まとめ

 ここまで見てきたように、理想の家を実現するための土地探しにあたっては、いくつかチェックしたいポイントがあるほか、さまざまな法律が関係してきます。自身で調べることはもちろん、事前に専門家に相談してみるのもおすすめです。

取材協力
一般社団法人大阪府宅地建物取引業協会 青鳩会 副部会長 福原昌樹さん
資格の学校TAC 宅地建物取引士講座 講師 笠松信之さん

一般社団法人 
大阪府宅地建物取引業協会
〒540-0036 
大阪府大阪市中央区船越町2-2-1

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