住まいづくりに役立つヒント

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建てる段階から考えておきたい光熱費を節約できる
家計にやさしい家

地球温暖化による気温の上昇により、夏期の冷房費がかさんだという方も多いのではないでしょうか?
省エネ型の最新エアコンに買い替えたり、消費電力の少ないLED照明にするなど、対策を講じるのも一つの方法ですが、建てる段階から省エネの家づくりを考えることが大切です。

高断熱化で冷暖房費はどれだけ安くなる?

 電気やガス、水道代などの住まいにかかる光熱費はなるべく抑えたいもの。家を建てる段階の施工次第で、省エネな家にすることは可能なので、どのような方法があるのか知っておきたいところです。
 まず、冷暖房費は高断熱住宅に住むことで、かなり節約できます。当然、長く住むほど、断熱レベルが高い住宅と不十分な住宅とでは、冷暖房費に大きな差が生まれます。



 理想的な断熱化は、建物全体を改修する全体断熱です。生活ゾーンが1フロアに限られている場合は、生活動線に沿ってリビングや寝室、洗面、浴室など必要な部屋だけを断熱するゾーン断熱でも効果があります。
 木造住宅の断熱工法にはさまざまな種類がありますが、大きく「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」に分けられます。家の内側に施工する充填断熱工法では、壁や天井、床下などに断熱材を施工します。特に、窓は熱の出入りが一番大きな箇所なので、高性能なサッシに交換するだけでも室内環境は大幅に改善されます。



省エネを実現する様々なシステムの採用へ

 2020年に開始予定だった「新築住宅に対する省エネ義務化制度」は、小規模新築住宅の省エネ基準への適合率が約6割(57~69%)と比較的低水準に留まっていることや、今年10月に消費税の増税があり、同時期に省エネ義務化した場合、住宅への投資が冷え込む懸念など、様々な事情を鑑みて、延期になりました。
 しかし、エネルギーの消費量が年々増加するなか、住宅部門においても省エネ・地球温暖化対策についての対応が求められていることに変わりはありません。この先、体制が整えば、省エネ義務化制度が実施される可能性は高いといえるでしょう。
 このような流れの中、小規模新築住宅を設計・施工する設計会社や工務店の多くが、断熱性の高い家づくりを進めたり、省エネを実現する様々なシステムを採用するようになってきています。その一例をご紹介します。

■エアコン1台で全館冷暖房
 高断熱、高気密住宅のメリットを最大限に生かすのが全館空調と言われています。最近では、エアコン1台で冷暖房ができる全館空調システムがあり、採用する設計会社や工務店が増えています。
 各部屋ごとにエアコンを設置する場合だと、廊下や脱衣所などとの温度差が激しくなるため、冬場はヒートショックなどの危険も伴いますが、全館空調では家全体が快適な省エネを実現する様々なシステムの採用へ温度となるため、ヒートショックを防止することができ、健康的に安心して暮らすことができます。


 ハウスメーカーでは全館空調システムを採用していることが多く、設計会社や工務店も、空調メーカーの全館空調システムや、市販の壁掛けルームエアコン1台で冷暖房ができるシステム等を採用しています。
 壁掛けルームエアコン採用のシステムは熱交換器によって、室内の排気する空気の「熱」を活かしたり、吸気する外気温を調整しながら、空気の入れ替えをする熱交換型換気扇を採用し、室温に合わせて、汚れた空気を排気し、外のクリーンな空気を取り込むため、室温を大きく変化させることなく、空気環境を整えることができます。換気、空気浄化、加湿、除湿を同時に行うことができ、イニシャルコストも市販品で作成するため、比較的安価で済み、エアコンの性能を引き出すことにより、エアコンと換気にかかる電気代は年間3~5万円程度(地域・設定温度により異なる)と言われています。

■地中熱や太陽熱を利用 
 また、エアコンをあまり使いたくないという方に採用されているのが、「地中熱利用24時間換気システム」です。1年中安定している地中の温度(地中熱)を利用することで、なるべくエアコンを利用しない暮らしができ、CO2排出削減につながる地球環境にも優しいシステムで、冷暖房費も節約することができます。




 「太陽熱利用システム」も地球環境に優しいシステムです。太陽熱により水を温めたり、温水床暖房に使うことができます。太陽熱温水器の熱エネルギー変換率はおよそ50%~60%で、太陽光発電の10%~20%と比べると非常に効率良く変換できます。初期費用は地中熱利用が約200万円~、太陽熱利用が約25万円~90万円となっています。費用対効果も考慮しながら、検討されることをおすすめします。

10年後の標準住宅「ZEH」とは

 10年、20年先を見据えた住まいの形として今、「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」が注目されています。ZEHとは、住宅の断熱化や冷暖房などの高効率設備によって省エネルギー化し、同時に太陽光発電などによってエネルギーを創ることで、住宅のエネルギー量の年間収支をゼロとすることをめざした住宅のことです。


 ZEHに注目が集まる背景には昨今の地球温暖化問題があります。国も地球環境保全に関する国際公約(パリ協定)達成のためにZEHを推進しています。また、家庭部門のエネルギー消費状況は、石油危機以降約2倍に増加。エネルギーの安定的・効率的供給のためにも、住宅そのものの省エネ対策の強化が必要不可欠です。
 ZEHを実現するには、空調や換気、給湯などの設備の高効率化や、太陽光発電・燃料電池などのエネルギーを創り出す設備の搭載が必要です。特に、家庭での消費エネルギーのうち、冷暖房が約30%を占めていることから、高効率なエアコンの設置は必須。しかし、いくら設備を省エネ化しても、住宅自体の断熱性能が低ければ室温が外気に影響され、冷暖房により多くのエネルギーが失われます。住宅の省エネ化で優先すべきは、前頁で示したとおり、断熱性能を高めること。これにより、太陽光発電や燃料電池への設備投資も小さくてすみます。
 国は現在、このZEHの普及を強く勧めており、「ZEH」を取得、あるいはZEHに改修する方に対し、補助金の交付を行っています。2019年度は経済産業省と環境省が施主(注文住宅)や購入者(建て売り)へ。国土交通省が事業者へそれぞれ補助金の交付を行っています。

① ZEH(ゼッチ)
一次エネルギー消費量(※1)が省エネ基準から▲20%以上UA値(外皮平均熱貫流率。住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値)の規定値を達成した家

② ZEH+(ゼッチプラス)
一次エネルギー消費量が省エネ基準から▲25%以上でさらなる断熱性能の強化や、電気自動車充電設備の導入など再生可能エネルギーの自家消費拡大につながる設備を導入した家

③ ZEH+R(ゼッチプラスアール)
ZEH+に、停電時の対応機能を加えたもので、非常電源、温水機能の確保などのレジリエンス(防災力)を強化した住宅のこと

④ 先進的再エネ等導入支援事業
①または②のいずれかの交付決定を受けた上で、地中熱ヒートポンプシステム等の再生エネルギーの導入をする方

一次エネルギーとは?(※1)
一次エネルギーとは、自然界から得られた変換加工しないエネルギーのこと。石油や石炭、天然ガス、ウランのような採掘資源から太陽光、水力、風力といった再生可能エネルギー、さらには薪や木炭等も含まれます。 昨今は環境意識の高まりから一次エネルギーをさらに枯渇性エネルギーと再生可能エネルギーに分けられるようになりました。枯渇性エネルギーとは石油、石炭のような化石燃料など、採り続けると無くなってしまう資源を指します。一方、再生可能エネルギーとは太陽光や風力に代表される半永続的に利用できるエネルギーのことです。

エネルギーを賢く「節約」&「見える化」

 最近注目を集めているのが、省エネに役立つ家電・設備のシステム「HEMS(ヘムス)」です。HOME ENERGY MANAGEMENT SYSTEM(ホーム エネルギー マネージメント システム)の略で、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムです。
 HEMSを導入すれば、家電ごとの電力消費量を把握できるようになります。電気代が普段より高くなっている場合も、どの家電が多く電力を消費しているのかが一目瞭然(見える化)になります。また、家庭内の電気機器を一括してコントロールしたり、エネルギー利用状況に合わせて自動的にエネルギー使用量を最適化したりできるようになっています。

 導入のために必要な機器が、使用電力量の計測を行う『HEMS対応住宅分電盤』と、その分電盤で計測した使用電力量データを無線通信で受け取り、それをモニターに表示する『AiSEG2(アイセグ2)』です。このアイセグ2は、各種家電などに通信で指示を送ることもできます。専用モニター以外でもスマートフォンやタブレット、パソコンで見ることができます。使用する電気やガスの使用状況をリアルタイムに管理することで、節電ができ、CO2削減など温暖化対策につながります。

インターネットで家電や設備をコントロール

 住宅や省エネに限らず、インターネットで暮らしを便利にするシステムが「IoT(アイオーティー)」です。Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と訳されます。IoTを取り入れるには、スマートスピーカーやスマートプラグ、スマートリモコンを使う方法があります。スマートスピーカーは、音声対話型の人工知能が搭載されているスピーカーです。
 たとえば「エアコンを切って」「テレビのチャンネルを変えて」という具合に、音声で家電を操作することができます。スマートプラグは、電源コンセントと家電の間に差し込んで使い、リモコンやタイマーがない家電のON/OFFをスマホで簡単に遠隔操作したり、タイマーを作動させたりすることができます。また、スマートリモコンは、スマートフォンから家電や照明を操作できます。




 H E M SやIoTを活用すれば、暮らしが便利になるだけではなく、節電意識が高まることも期待されます。新築やリフォームの際に検討してみてはいかがでしょう。

取材協力
一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議 理事長 上原裕之さん
株式会社住宅みちしるべ代表取締役 1級建築士 近畿大学建築学部 非常勤講師 太田周彰さん
※2019年10月取材時の内容となります。