The Study

床-2

フローリング以外の床

History

 「床-1」のHistoryでは、竪穴住居から明治の西洋建築までの流れを追った。今回は、それ以降の変遷をたどる。
 明治に入って、一部に限って西洋建築が取り入れられるようになったが、庶民は相変わらず、土間・板の間、畳の間の生活で、その形式は戦後まで続く。床の変化と言えば、昭和初期頃から衛生管理を目的に水まわりにタイルが使われるようになったことくらいだろう。
 床の歴史が大きく変化したのは、戦後から高度経済成長期にかけて、暮らしが西洋化し畳からイスの生活へ移行しつつあった頃だ。人口の増加に伴い、団地やマンションなどの集合住宅が次々と建てられたが、当時は防音の技術が乏しく、階下への騒音が大きな問題となった。それを解決する方法として流行したのが「カーペット」だ。騒音を吸収してくれる上に、西洋文化の一端でもあることから、豊かさのステータスとしてもてはやされた。しかし、間も無くしてカーペットはダニや埃がたまりやすいので不衛生だと言う噂が広がる。家でも靴を履いて過ごす文化ならまだしも、日本人にとって床は寝転ぶ可能性すらある場所。清潔でなくてはならないのだ。あっという間にカーペットはフローリングにとって変わられた。当初は騒音問題も残っていたが、徐々に防音の技術が進み、今では最もポピュラーな床材となっている。最後に、現在の生活環境下では、カーペットも決して不衛生ではないことを付け加えておこう。

広がる選択肢
床材の世界

 現在、住宅の床と言えば圧倒的にフローリングだ。もちろん、機能的にも意匠的にも、多くの魅力があるからだが、ヒストリーでも述べたように、長い目で見れば、高度経済成長期に一世を風靡したカーペットに対抗して出現した一種の流行り物でもある。
 もし、その流れが床材選びの目を曇らせていたとしたら、とても残念なことだ。なぜなら床は、住空間の大きな構成要素である「床」「壁」「天井」の中でも、最も体に触れる時間が長く、快適さや安全性を大きく影響する部位で、掃除や座る場所など、日々の暮らしにも深く関係するからだ。
 そこで、前回のフローリング特集に続いて、今回は、フローリング以外の床材について学んでいこうと思う。
 まず、床には、フローリング以外にもさまざまな選択肢があること。そして、適材適所での使い分けや、床座なのかテーブルなのか、家族の成長に伴う変化に合わせた張り替えなど、さまざまな角度から選び方を考えてみよう。
 まずは、どんなものがあるかを一覧にしてみた。

石材

大理石や御影石に代表される天然石。スラブ、ブロック、タイルなどの形状で切り分けられ納品される。

タイル( 陶磁器)

磁器質(せっ器質)タイル
水に強く、汚れを簡単に除去できるので、衛生面が気になる場所や水まわりによく使用される。

陶器質タイル
多孔質なので磁器に比べると吸水性があり、やや柔らかく磨耗しやすい。

©名古屋モザイク工業

樹脂系床材

床タイル(フロアタイルなど)
塩化ビニルを主原料としたタイル状の床材。フローリングや大理石を再現したものが多い。

床シート(クッションフロアなど)
塩化ビニルを主原料としたシート状の床材。発泡層を組み合わせたものをクッションフロアと呼ぶ。

©東リ

カーペット(ファブリック)

タイルカーペット
タイル状のカーペット。床に接着したり吸着させたりして並べて使用する。

ロールカーペット
シート状のカーペット。一面に敷き詰めて使用するのでつなぎ目がない。

©東リ

©東リ

敷き畳
日本の床座の生活を支えてきたクッション性のある床材。部屋全体またはフレーム内に敷き詰めるものを敷き畳と言い、特別な施工が必要となる。

置き畳
パネル状の畳。並べて置くだけで使用できる。

©DAIKEN

モルタルその他( 左官材)

モルタルやコンクリートに代表される塗布後、化学反応で固まる建材。壁なら漆喰や珪藻土が人気。

光を通す床材

床ガラスなど、光を通す床材。

©永森建築事務所

石材

石材の魅力は、何と言っても天然素材ならではの風合いや表情。同種の石でもそれぞれに個性があり、全てが唯一無二だ。概ね耐久性が高く、熱や火にも強いが取り扱いに注意が必要なものも多いので使用場所との相性をよく確かめて選ぼう。

木目のような模様が上品な大理石『セルペジャンテ』。タイル状のものを使って模様を縦横交互に張りテクスチャーに動きを出している。

特徴

・天然石ならではの質感や芸術的な意匠性
・デリケートで取り扱いに注意が必要なものが多い
・硬いので転倒や落下に注意が必要

「火成石」「堆積岩」「変成岩」

天然石材は成り立ちによって3種類に大別される。

火成岩:マグマが冷え固まって結晶化したもの。御影石などがこれに分類される。
堆積岩:砂や岩石のかけら火山灰など、様々なものが堆積して固まったもの。ライムストーンなどがこれに分類される。
変成岩:すでにある岩石が、地殻変動などにより圧力や熱を受けて再結晶化したもの。大理石などがこれに分類される。

表面仕上げの種類

同じ石でも仕上げで印象は大きく異なる。住宅屋内で使用される石材は、『本磨き』のものが多い。『鏡面仕上げ』とも呼ばれ、ツルツルに磨き上げる方法で模様が美しく浮かび上がるので好まれるが、滑りやすいので注意が必要だ。これに対し、光沢のない仕上げを『水磨き』と言う。一方、研磨せず、あえて凹凸を出す方法もある。バーナーで石材の表面を飛ばす『ジェットバーナー仕上げ』や専用の砂を吹き付ける『サンドブラスト仕上げ』など細かく凹凸を出したものから、叩いたり割ったりして荒々しいテクスチャを楽しむものまで様々な仕上げ方がある。

グレーの大きな模様が印象的な大理石『アラベスカートコルキア』。

重厚感があり落ち着いた空間を演出してくれる大理石『グリジオカルニコ』の床。

ブランド石だけで30種類以上もある中から 床にも使えるポピュラーな石材

モカクリーム ライムストーン(石灰岩) 柔らかな色合いで人気。水を吸うとシミになるので、床に使用する場合ははっ水加工を。

ビアンコカラーラ 大理石 ポピュラーな大理石。グレードの幅が広く安価なものもある。やや傷つきやすいので注意。

エンペラドールライト 大理石 シックな色合いの大理石。斑が激しいので、大きな面に使うとかなり個性的に仕上がる。

ロッソアリカンテ 大理石 オレンジから茶色まで赤の幅は広い。濡れたまま放置すると色抜けするので注意。

インドジャモン 大理石 緑の濃淡が美しい石。研磨すると、輝きを増す。やや傷つきやすいので、コーティングを。

浪花白 御影石(グラニット) 白い泡を伴って打ち寄せる波のような模様の石。カットする方向で印象が大きく異なる。

attention:
1)天然のものなので、見本と実物が違ったり、色が揃わなかったりするのは当然と言える。また、納品に時間がかかったり、輸送中に割れたりすることも考慮しておこう。
2)石材の中には、水に濡れると滑りやすくなるものやシミになるものがあるので、使用場所に対しての適性を調べて選ぼう。

メンテナンス:
メンテナンスや取り扱いについては、石材の種類によって異なるので、それぞれに合った方法を調べておこう。

人造大理石と人工大理石

『人造大理石』とは、天然石を粉砕してセメントや樹脂で固めたもの。鏡面板状に仕上げられたものが多く、公共施設の床などによく使用されている。それに
対し『人工大理石』は、樹脂を主成分とした素材で、天然石は一切使用されていない。成形しやすく耐久性もあるので、シンクや浴槽などによく使用される。

人造大理石

陶磁器タイル

床材の中で最も水や汚れに強く衛生的で、耐久性にも優れている陶磁器タイル。そのため日本では、水まわりを中心に普及したが、玄関やリビングに使うと、圧倒的な高級感で、部屋のグレードをあげてくれる。また、天然石の再現にはこれ以上ない素材だ。

ガラス質が高級感を演出してくれる大理石を模倣した磁器タイル。マーブルラブ(名古屋モザイク工業) ©名古屋モザイク工業

特徴

・水や熱、汚れにも強く衛生的
・メンテナンスが簡単
・光や経年での劣化がほとんどなくいつまでも美しい
・陶磁器ならではの優れた意匠性と質感
・硬いので転倒や落下に注意が必要

「磁器質」「せっ器質」「陶器質」

陶磁器タイルは質によって3種類に大別される。

Ⅰ類(磁器質):焼成温度1,250度以上。見た目に透明感があり、硬く緻密で、ほとんど水を吸わない。
Ⅱ類(せっ器質):焼成温度1,200度前後。磁器質ほど透明感はないが、緻密で、やや水を吸う。
Ⅲ類(陶器質):焼成温度1,000度以上。磁器に比べて柔らかく多孔質で水を吸う。磁器に比べると傷や汚れもつきやすい。

木質を再現したタイル。磁器なので硬いはずだが、柔らかさや温もりが感じられる。アトラスウッド(名古屋モザイク工業) ©名古屋モザイク工業

切り出した天然石の断面が見事に再現されたタイル。表面の凹凸が一枚一枚の個性となっている。バイオアーチストン(名古屋モザイク工業) ©名古屋モザイク工業

経年劣化による風合いを表現したタイル。カナルストリート(名古屋モザイク工業) ©名古屋モザイク工業

陶磁器ならではの渋みのある色と斑が味わい深いタイル。キラ(名古屋モザイク工業) ©名古屋モザイク工業

attention:
陶磁器タイルは、水に濡れると滑りやすくなるものもあるので、「床性能評価指数」などで使用場所に対しての適正を確認して選ぼう。

メンテナンス:
掃除機などでホコリをとり、水拭きまたは、中性洗剤で汚れを拭きとる。摩擦にも強いので、ひどい汚れはブラシの使用も可能。ワックスは不要。

樹脂系床材

コストパフォーマンスで選ぶなら塩化ビニルを主な原料とする樹脂系の床材。水や汚れに強いので、フローリングや磁器タイルの代替として、トイレやキッチンなどによく使用される。ピース単位で貼っていく床タイル(フロアタイル)と一面に敷き詰める床シート(クッションフロアなど)がある。

床タイル ロイヤルストーン・モア トラバーチン(東リ) ©東リ

特徴

・水や汚れに強い
・コストパフォーマンスが良い
・用途に合わせて機能を特化した品揃えが豊富
・比較的施工が簡単
・模倣したものは本物に比べるとやや見劣りする

「床タイル」か「床シート」か

床タイルの強み
床シートに比べると、フローリングや陶磁器タイルなど、模倣対象の再現性が高い。中には、傷ついたり汚れたりした場合に、部分だけ交換できるものもある。

床シートの強み
床タイルに比べ、模倣対象の再現性にはやや劣るが、安価で施工も簡単。継ぎ目がないので、水分などが裏面に回る心配がない。その強みを生かした商品が人気。

フローリングや磁器タイルの代替品として

トイレやバスルームなどの水まわりでは、大理石や磁器タイルを模倣した床タイルが人気。鏡面仕上げの透明感ある風合いも再現されている。床タイル ロイヤルストーン(東リ) ©東リ

樹脂系床材の中で最も人気なのがフローリングを模倣したもの。様々な樹種を再現している他、シャビーやラスティックなどテイストの展開も幅広い。フロアタイル ウッド ナチュラルオーク(sangetsu)

樹脂系床材は、ショップや施設など、業務用にも展開されているので、土間や玄関などの土足エリアに対応できる商品も豊富に揃っている。フロアタイル ストーンブリック(sangetsu)

樹脂の強みを生かして、浴室やペット用に特化された商品に注目。

forペット:ペットに最適なクッションフロア。爪などによる引っかき傷に強く、手入れも簡単で、アンモニア臭を消臭・分解してくれる。クッションフロア ニュークリネスシート(東リ) ©東リ

for浴室:触れてもひやっとせず、滑りにくい上に、クッション性があるので転んでも衝撃を吸収してくれる浴室用の床シート。既存の床の上から貼ることができる。浴室用床シート バスナリアルデザイン(東リ) ©東リ

樹脂系床材の様々な付加機能

業務用商品を中心に、用途に合わせた様々な機樹脂系床材の様々な付加機能 能が付加されている。

・さらっと触感:従来のベタつく肌触りを解消。
・タバコの火に強い:タバコの焦げ跡が残りにくい。
・遮音性をあげる:厚みを増し、階下への音の響きを柔らげる。
・キャスターの滑りをよくする:車椅子などが動きやすい。
・ひやっとしない:接触温熱感に優れている。
・フリーワックス:半永久的にワックスを掛けなくてもよい。
・耐薬品
・防滑
・消臭
・抗菌・防カビ
・他

プリント加工だから、デザインのバリエーションが豊富。
しかも、簡単に貼れるから、気軽に床アートできる。

メタリック風フロアタイルファインメタル(sangetsu)

ワニ革風フロアタイルクロコダイル(sangetsu)

モルタル風フロアタイルモルタルブロック(sangetsu)

安価で施工も比較的簡単なので、気軽に張り替えを楽しめるのが樹脂系床材の魅力。大胆なグラフィックの床にも安心して挑戦できる。 クッションフロア モロッコタイル(東リ) ©東リ

店舗用クッションフロアカラーパーケット(sangetsu) ©sangetsu

クリア層の内側にエンボス加工を施し、多面的な反射を作り出すことでキラキラと光って見える床タイル。ロイヤルストーン・モア ルミナスキリコ(東リ) ©東リ

attention:
クッションフロアは柔らかいので傷がつきやすく、家具などの荷重により凹みが生じる場合がある。

メンテナンス:
掃除機でホコリをとり、気になる汚れは雑巾などで水拭き(中性洗剤使用可)。年に1~2回樹脂ワックスをかけておくと長持ちする。

カーペット

1970~80年代、高度経済成長の波に乗り豊かさのひとつとして好まれたカーペット。90年代からフローリングに押されて落ち込んだものの近年、その魅力が再発見されている。また、主に業務用として展開されてきたタイルカーペットが手軽さや利便性から住宅にも市場を広げている。カーペットは、後付けのインテリアとして扱われがちだが敷き込む場合は、設計時から計画に入れておく必要がある。

©東リ

「ロールカーペット」か
「タイルカーペット」か

ロールカーペットの強み
一流ホテルの客室のようなふかふかとした踏み心地を求めるならロールカーペット。また、タイルカーペットのカジュアル感に対して、良質な空気感を演出してくれる。

タイルカーペットの強み
施工が簡単で、汚れた場合は部分的に張り替えることができる。また、すでにある床の上に敷くことや、ラグのように部分的に敷くこともできる。

©東リ

カーペット選びは、まず「素材選び」

インテリアとして捉えられがちなカーペットは、色や柄だけで選ばれてしまうこともしばしば。ラグならまだしも、敷き込んで長く使う場合は、機能性や耐久性も知った上で選んで欲しい。

住宅ならウールがおすすめ
靴を脱ぐ文化のある日本の住宅には、ウールがおすすめだ。肌触りが良く、夏はさらっとしていて冬は暖かい。調湿性があるので結露も少ないと言われている。弾力性にも優れている上、耐久性もあるので、高価だが価格に見合った効果が得られる。

「ウィルトンカーペット」 英国ウィルトンで生まれたカーペットで、手織り絨毯を機械で再現したもの。5色程度の糸を使ってジャカードによる色柄や凹凸柄が出せる。高品質なカーペットの代名詞。 ©HOTTA CARPET

「アキスミンスターカーペット」 英国アキスミンスターで生まれたカーペット。現在は機械織りが一般的で、10色以上の糸を使って複雑な模様を織ることができる。機械織りのカーペットでは最高級品。 ©sangetsu

風合いに差が出るパイルの「密度」や「形状」

基本的にパイルの密度が高ければ高いほど、弾力性と耐久性が増す。その他風合いは、パイルの太さ、長さ、撚り、形状によっても変わるので、実際に触って確かめることが大切だ。パイルの形状は「ループ」「カット」「カット& ループ」に大別される。

「ループ」とは
表面のパイルが輪になっているもの。魅力は、ボリューム感。実際の密度以上に見た目にパイルが詰まって見える。例えば、階段に敷き込んだ場合、角で折れても「ループ」なら基布は見えにくい。

©東リ

「カット」とは
表面にパイルの毛先が出ているもの。魅力は、一流ホテルのような高級感。パイルの密度がそのままボリュームとなるため、糸をたくさん使用する傾向があり、結果的に質の高いものが多い。

©東リ

耐久性に差が出る「製造方法」

「タフテッド」とは
刺繍のように基布に糸を刺していく方法。生産効率が良いので織りのカーペットに比べて安価だ。タイルカーペットでは100%、全体では90%以上の市場を占める。糸が抜けると修復できないことと、基布に糸を固定しているラテックスが劣化するため、5~7年程度での敷き替えがおすすめだ。

「織り」とは
「ウィルトンカーペット」「アキスミンスターカーペット」に代表される、縦糸と横糸を織りあげていく方法。生産効率が悪く高価だが、糸の抜けやほつれが修復でき、耐用年数も長い。また。ジャカード織で繊細な柄を出すこともできる。手織りでは「ペルシャ絨毯」や「ギャッベ」などが有名。

タフテッドでもクリアで立体的な柄が楽しめる。  サンサーフェス(sangetsu) ©sangetsu

カーペットは、 着替えられる床

カーペットの面白いところは、床材とインテリアアイテムの中間にあるという点だ。フローリングや磁器タイルを替えようと思うと、大層な工事が必要になるが、カーペットなら1日でできる  上に、施工費もさほどかからない。「着替えられる床」だと思えば、カーペットの楽しみ方はどんどん広がる。
※注:施工方法や施工箇所によっては日数がかかる場合もある。

床をカーペットでデザインしたサンゲツの「GRAPHIC」。カーペットならこんなアレンジも楽しめる。 ©sangetsu

組み合わせを自由に楽しむことができる東リのタイルカーペット「アタック270 キャンバスファイン」。カッターで簡単に切れるので、形もアレンジできる。敷くだけで床に吸着し、ずれる心配はない。
©東リ

©東リ

住宅の西洋化に伴い、需要が減り続けてきた畳。近年は、琉球風畳の人気をきっかけに縁なし半畳サイズの様々な商品が登場し、ラグのように使える「置き畳」など「畳=和室」に捉われない展開を見せている。また、海外での人気も高まっているので今後、さらに多様な楽しみ方が見出されるだろう。

縁なし半畳サイズの置き畳。縦横を交互に置いて市松柄に。フローリングに敷けば、ごろりと寝転がれたり、子どもが安心して遊べたり、活用方法はさまざまだ。 igusa mono/HERB TILE(TTN Corporation)

畳の構造と素材を知ろう!

①畳表
表面を覆っているゴザのこと。従来は、い草と綿糸や麻糸で編まれていたが、現在は樹脂や和紙で編んだものもある。
表面が痛んだら、ここだけを替えることもできる(表替え)。

い草
伝統的な素材。調湿性や空気清浄力があると言われている。最近は、い草のアロマによるリラクゼーション効果や集中力を高める効果が注目されている。色褪せや、焼け・磨耗により劣化も早い。

樹脂
耐光性に優れ、日焼けの心配がほとんどない。カラーバリエーションも豊富。水や汚れに強く、手入れも簡単。やや熱に弱い。高価だが、丈夫で長持ち。

和紙
耐光性は樹脂同様に優れている。ツヤのある樹脂製に比べ、柔らかな風合いとさらっとした肌触りが特徴。カラーバリエーションも豊富。撥水加工により水拭き可能。高価だが、丈夫で長持ち。

②畳床
畳の芯の部分。昔はわら床が一般的だったが、数十年前からは軽くて衛生的な建材床などが主流。

わら床
稲わらを圧縮させた昔ながらの畳床。踏み心地の良さが特徴。調湿性があり、防音、断熱などにも優れている。通気さえ良ければ長く使えるが、虫がつきやすく湿気に弱い。

建材床
ファイバーボードだけのものと、ポリスチレンフォームと組み合わせたものがある。軽量で、防ダニ、防カビ、防音、消臭、断熱などの効果がある。ファイバーボードだけのものは耐久性と吸湿性に優れている。ポリスチレンフォームを使うと断熱性は向上するが、耐久性はやや劣る。

わらサンド床
ポリスチレンフォームなどを稲わらのマットで挟んだもの。
わら床の踏み心地と建材床の軽さや耐久性、衛生面の性能を合わせ持っている。

③畳表の編み方

④サイズ
敷き畳のサイズは概ね決まっているが、部屋の寸法に合わせて1枚1枚つくるのが一般的。規格外のものは、かなりコスト高。置き畳はそれぞれだが450角または900角のものが多い。

⑤ヘリ
畳の縁に沿って巻かれているテープ状の部位のこと。保護と意匠の両方を目的としている。従来は、綿や麻を使用していたが、近年は化学繊維のものが多い。畳の色やインテリアに合わせて選ぶこともできる。

デザイン性の 高い畳たち

カラー畳では、グレーやブラウンなどの落ち着いた色が人気だそう。濃い色のへりには空間を引き締める効果がある。ダイケン健やかおもて/銀白 市松(DAIKEN)

パステルカラーの畳なら、爽やかな洋室との相性も抜群。ダイケン健やかおもて/清流ストライプ(DAIKEN)

ビニール織物の世界的ブランド「chilewich」を使用した畳。

モルタルなど( 左官材)

従来は、建物の構造部分や下地として使われてきたコンクリートやモルタル。最近は、そのインテリア性の高さから表を飾る顔としても注目されている。他の床材のように貼ったり敷いたりするのではなくその場で塗ってつくりあげるので、左官の技術が、床の表情をつくる点も面白い。

モルタルなどの左官材は塗り方によって様々な表情を見せるので、施工業者選びも大切なポイント。

モルタルなど、左官材の表現力

左官技

モルタルとコンクリートの違い

モルタルもコンクリートも、セメントと水と砂を混ぜてつくるが、コンクリートはさらに砂利を入れて練ることで、優れた耐久性や耐火性を備えた建築材料となり、構造物を形づくる基礎としてよく使われる。それに対して、モルタルは、接着剤としてブロックの目地や床材の下地に使われたり、見た目がきめ細かくキレイに仕上がるので、コンクリートの表面仕上げに使われたりする。

漆喰やモルタルなどの左官材は、カラー展開もされている。発色も良く、左官材の質感と相まって独特の世界観をつくり上げることができる。

専用の顔料で着色したモールテックス※の青い壁(原田左官工業)

モルタルやコンクリートとの 上手な付き合い方

乾燥によって収縮し、ひび割れる

モルタルもコンクリートも、水分の吸排出によって伸縮し、ひび割れが生じる。それを風合いとして楽しむこともできるが、一般的には目地をつくって伸縮を
吸収したり、ひび割れを抑制する補強材を使ったりする。

「モルタル風タイル」

見た目をモルタル風に仕上げたいなら、モルタルを模倣した塩化ビニルのタイルや、陶磁器タイルを使う方法もある。ひび割れの心配もなく、メンテナンスも簡単だ。

ラフな塗り跡を再現した塩ビタイル「コンクレット」(サンワカンパニー)

蓄熱性を利用して上手に温度調整を

モルタルやコンクリートは、日が当たり続けると熱を、日陰だと冷たさを蓄え、溜まった熱や冷気を全面からゆっくりと放出する。この性質を利用して、効率的に温度調整しよう。夏は冷たい床を楽しんで、冬は暖房の熱を蓄えさせ、部屋全体をじんわりと温めてもらう。それには床暖房がおすすめ。熱源が直接モルタル床を温めるので、効率良く熱が蓄えられる。

掃除やメンテナンスの方法も考えておこう

モルタルやコンクリートは、そのままだと水分や油分を吸ってシミになる可能性がある。それらを風合いと捉えることもできるが、はっ水加工などを施すのが一般的だ。また、表面に凹凸をつけて表情を楽しむこともできるが、埃や汚れがたまりやすく掃除もしにくい。何を優先させるかを考えて決めよう。

モルタル造形

コンクリートやモルタルを使って空間をデコレーションする技術を『モルタル造形』と言う。身近なところでは、テーマパークや商業施設などで見られる。ヨーロッパの古い街並みを再現したり、近未来の街をつくってみたり。この技術を使えば、庭や屋内にリアルなおとぎの国を作ることができる。

床にも使える進化した左官材

モールテックス

Official Dealer:MENJO KENZAI
http://www.mortex.co.jp

防水性や強度などの機能性と、様々なデザインに対応できる柔軟な意匠性を合わせ持った仕上げ用左官材。モルタルのようなひび割れの心配がなく、曲げにも強いので曲面にも使用できる。カラーバリエーションが豊富で、表現力も高いので床や壁だけでなく、家具やオブジェなどにも幅広く使われている。

オルトレマテリア

Official Dealer:Kobayashi Industry inc
http://oltremateria.kobayashi-ind.com

地球環境に配慮し、リサイクル鉱物を利用した空間意匠左官材。石材から樹脂、金属にいたるまであらゆるものに塗布できる。防汚・防水性や耐久性などの機能性に加え、カラーやテクスチャー、質感までも選ぶことができる高い意匠性を合わせ持っている。

光を通す床材

採光や開放感、インテリアのアクセントとして床用ガラスやFRP※グレーチングなどを使って、光を通す床をつくることもできる。
※ガラス繊維で強化されたプラスチック

床用のガラスを使った廊下。ブロックガラスを使う場合は鉄枠が必要。

FRPグレーチングを使った床。ガラスに比べて低コストで実現できる。

写真協力:永森建築事務所
http://www.ynagamo.com

取材・写真協力

●株式会社サンゲツ
https://www.sangetsu.co.jp
【大阪ショールーム】大阪市北区梅田2-5-25ハービスOSAKA 4F
TEL.0570-055-136 FAX.06-6347-9811
OPEN:10時 - 17時 CLOSE:毎水曜日(祝祭日除く)・お盆・年末年始

●大建工業株式会社
https://www.daiken.jp
【大阪ショールーム】大阪市北区角田町8-1梅田阪急ビルオフィスタワー20F
TEL.06-6367-3950 FAX.06-6367-3939
OPEN:10時 - 17時 CLOSE:毎水曜日(祝祭日除く)・お盆・年末年始

●名古屋モザイク工業株式会社
https://www.nagoya-mosaic.co.jp
【大阪ショールーム】大阪市中央区備後町2-1-1 第二野村ビル1F
TEL.06-6223-8006
OPEN:10時 - 17時 CLOSE:毎日曜日・祝祭日

●東リ株式会社
http://www.toli.co.jp
【大阪ショールーム】 大阪市中央区大手前1-7-31 OMMビル 7F
TEL.06-6943-1649
OPEN:10時 - 18時 CLOSE:毎日曜日・GW・お盆・年末年始

●株式会社TTNコーポレーション
http://www.ttn-corporation.net
伊丹市北伊丹9-80-3
TEL.072-785-1058

●原田左官工業所
http://www.haradasakan.co.jp/
東京都文京区千駄木4-21-1 ハラダビル
TEL.03-3821-4969 FAX.03-3824-3533

●堀田カーペット株式会社
http://hdc.co.jp
和泉市観音寺町531
TEL.0725-43-6464 FAX.0725-44-1313 E-mail : info@hdc.co.jp

●いしらべ
https://ishirabe.com